まりんを見送った日々 3

〜どうぶつの森霊園〜

4年前、桃が虹の橋に旅立った時は、調布の深大寺で個別火葬をしていただいて、遺骨は自宅に持ち帰り、今も私達のもとにある。

ここに越した今、まりんは、どこにお願いしよう…。学生時代に愛犬が亡くなった時は、合同葬だったので、あまり参考にならず、タウンページで市内のペット霊園を探し、問い合わせた。

そして、電話の対応が良かった「どうぶつの森霊園」に依頼することに。

9月5日。我が家で二晩を過ごしたまりんを連れ、お葬式に向かう。

家を出る前に、子供達ひとりひとりにお別れをさせた。

りゅうも、ラピも、ルナも、とても真摯な顔でまりんを見つめていた…。変な言い方だけど、子供達のその顔が、とても美しいと思った。全てを理解し、一緒に暮らした家族を心に刻みつけ、しっかりと見送ろうとしている顔…。

そして、まりんの顔は..といえば、まりんは、まりんのままだった。

桃が、一晩ごとに表情を変え、火葬に向かう朝には、微笑む観音様の表情になったのに対して、まりんは、少しも変わらない、いつものまりん。

いたずらっ子が、そのままスヤスヤと眠っているだけに見えた。安心しきった、とても可愛い表情だった。

まりんは無邪気なうさぎさんのまま、姉に手を引かれて、安心して旅立ったんだ….私達には、そう思えた。

お通夜の間、まりんをずっと守っててくれたラピDSCF9047.jpg

まりんにお別れをするラピルナ。全て理解ってたねDSCF9052.jpg

ウチから車で40分ほどの「どうぶつの森霊園」は、まだ建って数年の新しい施設で、とても綺麗だった。何より、スタッフの対応が行き届いていて、いろんなことで心を病んでいた私達にとっては、まりんを大切な「家族」として扱ってくださるスタッフの言葉や態度の一つ一つに、慰められる思いだった。

火葬の前には、お坊様がいらして、お葬式もあげてくれた。

その後、まりんは、綺麗な純白のお布団に寝かせられ、守り刀とお数珠で旅支度をし、私達が書いたメッセージカードを添え、最後のお別れの後、厚い扉の向こうに消えていった。

お骨あげの時、まりんの遺骨が桃と比べて、ずいぶん華奢なことに、私達は驚いた…。見た目には、まりんの方がよほどしっかりした体つきに見えたのに。

スタッフの方に「遺骨の状態で、その子の健康状態なども分かりますか」と伺うと、スタッフの方は、少し躊躇しながらも「病気を、長く患っていらっしゃったのではありませんか…」と。

まりんの遺骨は、全体的に灰色がかっていて、緑色に変色している部分がたくさんあった。それは、薬剤の影響によるものらしい。たしかに、一昨年の毛球症の手術以降、漢方、胃腸薬、抗生剤、点滴、まりんは、しょっちゅう様々な治療を受けていた。

箸でそっと拾い上げる時も、桃の遺骨はしっかりしていたけど、まりんの遺骨は、ぱらぱらと崩れてきてしまい、大変だった。桃のように、喉仏がしっかり残っている子は珍しいと言われたけど、確かに、まりんの喉仏は、小さく割れてしまっていた。

標本のように見事な形で、桜貝のようなピンクに染まっていた桃のお骨を見た時は、こんなに健康なのに、何故逝ってしまったの…って、たまらなかった。

でも、華奢で脆くて変色したまりんのお骨を見た時、“ぼく、いっぱいいっぱいまで頑張ったんだよ”…まりんが、そう言ってるような気がした。

長生きさせてあげられなかったことを悔やみ、この二日間、自分達を責め続けてきた母達に、まりんがメッセージをくれたのかもしれない…。

家に戻れば、また、心を砕かなければならない問題が待っている。でも、ここで個別火葬をしていただいたことで、まりんが精一杯頑張って私達のそばにいてくれたことを、感じ取ることができた。まりんのことが、とても愛おしかった。誇らしかった….。まりんへの感謝の気持ちで、胸がいっぱいになった….。

まりんを抱きしめて帰途につく私達を、建物の前に出て、深々と礼をして見送ってくださったスタッフの方々…。

それが、ビジネスだと言ってしまえばそれまでだけど、こういう何気ない思いやり…あなたが大切にしている家族を、私達も尊びます…そういう気持ちが、どんなに人の心を温かくしてくれるか…それを教えられた。

自分たちも、どんなに辛い時も、優しい気持ちだけは失いたくない。そう思った。

家に戻ったまりんの周りは、綺麗なお花で飾られた。それは、ブログでまりんの急逝を知った友が贈ってくださったお花。そのうちの一つは、まりんと同じ日に愛犬を亡くした友からのものだった。彼女だって、とても辛い時なのに….。

心がぐちゃぐちゃになって、何もかも遮断してしまおうと思った私達に、その花達は“ここに優しさがあるよ”って、伝えてた。

それでも、その時の私達は、全てに背を向けることが、一番心が安らぐことだと思い続けた。

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